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理事長所信

一般社団法人 新見青年会議所
第48代理事長  堀江 裕
【所 信】

 「奮励努力」
 先の見えない混沌とした現代社会に於いて、我々青年は地域の為、国の為にどのように行動していけばよいのだろうか。地域のオピニオンリーダーとして、また子供を育てる現役世代の代表として、青年会議所が掲げる「明るい豊かな社会」の実現へ向け、会員個々が一層の奮励努力し、この壮大な目標へと邁進していこうではないか。
 私は2006年1月の入会以来、LOM内外で多くの仲間とさまざまな事業に携わってきた。それらの活動を通じて、先輩方から地元を愛する心を学び、仲間を信頼する心を学んだ。
 青年会議所でしか学ぶことのできないこの「心」を、後輩含めどれだけの人に伝えていけるか。それが私たちの課題であり、「明るい豊かな社会」の実現への第一歩だと確信している。

 「青年の使命」
 青年とは一般的に20歳から40歳のことをいう場合が多い。正に青年会議所の会員資格を有する年齢と同じである。青年とは希望に満ち溢れ、大いに仲間と夢を語り、それを具現化していくと同時に、多くの悩みを抱え、思い通りに行かないことへの憤懣や人生の壁にぶつかり、もがき苦しむ年代でもある。この年代に、同じ目標を掲げ、志を同じくする仲間と出会い、お互いに切磋琢磨し成長していくほど有意義なものはないと思う。そして、その想いを共に形にしていく仲間がいる団体こそ青年会議所である。歴史を見てもこの年代の先人たちが歴史を作り、変革を起こしてきた。彼らにできて我々にできないはずがない。青年会議所というフィールドで、ともに歩を進め青年としての使命を果たそうではないか。

 「自分が変わらなければ地域も国も変わらない」
 "To provide development opportunities that empower young people to create positive change."JCIミッションにあるように周囲により良い変化をもたらせる為に、我々は青年会議所という学びの場で「発展」と「成長」の機会を与えられているのである。
 大東亜戦争終戦から僅か4年。国際法上の終戦であるサンフランシスコ講和条約の発効より3年も前の1949年(昭和24年)9月3日「祖国日本の復興」を目指し、後の東京青年会議所である、東京商工青年会議所が設立された。焼野原の東京の地を見た先輩方の志はどうだったのか。今の我々よりも絶望的な状況の中で、なぜ立ち上がったのか。推測になるが、自分たちが変革を起こさなければ、日本の未来はないと思い立ち上がったのではないだろうか。当時の日本を取り巻く世界情勢を跳ね返し、48名の若者は東京商工青年会議所を設立したのであろう。当時と今とでは、世界が日本を見る目は違う。しかし、青年として当時と変わることのない、国を想い「正義」と「理想」を追い求める志を受け継ぎ、地域の発展の為に我々に与えられた機会を実践し、周囲により良い変化をもたらせる為に先ずは自分から変わろうではないか。

 「愛あふれる地域と家庭へ」
 先般発表された2013年度全国学力テストにおいて、岡山県は小学校が38位、中学校が42位と岡山県の学力は全国でも最低レベルであり、中学校に至っては前年から10ランクダウンという結果だった。また、岡山県の非行率は2年連続で全国ワースト1位でもあった。
 自分たちも子供を持つ現役世代の人間として、この問題の解決への糸口を見つけるために、正面から取り組まなければならないだろう。
 最近では経度発達障害に似た症状を持つ子供が増えてきているようだ。この軽度発達障害は授業中に歩き回るなどの行動をとる子供のことをさし、この軽度発達障害の二次障害として非行やいじめに至ってしまうというデータも発表されている。この軽度発達障害は親や周囲の子供への愛情不足からくることもデータから明らかになっている。人の寿命が80年だとしよう。そのうち子供と密に接する時間は18年間しかないのだ。人生の中でも子供と共に過ごす時間はわずかであり、この短い時間の中で親の愛情を目一杯注いでやる。これが一番ではないか。できたら褒めてもらえる。子供はそんな些細な事でもやる気を出してくれる。かつて日本は三世代同居が当たり前だった。しかし戦後アメリカのスポック博士の育児書が日本でもてはやされた時期があった。この育児書は赤ちゃんが目を覚ました時に親はいない方がいいなど、赤ちゃんを甘やかせてはいけないなどど書かれていた。そしてこの育児書が、当時の厚生省の母子手帳の副読本に影響を与えて欧米化した育児が日本に広まった。しかし、その後アメリカではスポック博士の説は間違いであることが証明され本人も間違いであったことを謝罪し現在ではこの教育方法は活用されていない。しかし、日本ではこの時のことが、呪縛の如く残ってしまったのだ。
 学力の話に戻るが、現在学力テスト上位は秋田県、福井県、富山県など三世代同居がなお生きている地域が高い。つまり、縦糸の文化である日本の中において今もまだ、縦のつながりによって育児の知恵を伝えてきた地域なのだ。地域と家庭が共に子供を見守り育てられる環境の復活こそが、子供達の健全育成への道だと思う。そして何より、親が子供を愛し、子供も親を愛することが一番だと信じている。この問題に対し、行政には出来ない現役世代の代表である我々にしか見えない視点からこの問題へ取り組もうではないか。

 「会員拡大は鏡の中の自分」

 昨今の会員減少は全国どこの青年会議所も同じことである。かつては新見青年会議所も会員数が60名以上在籍していた時期もあった。ではその60名の時代に会員拡大を行わなかったのか。そんなはずはないのである。いつの時代も会員拡大は永遠の課題なのだ。では、なぜ会員拡大を行わなければならないのか。会員拡大は組織の維持が目的ではない。「明るい豊かな社会」の実現の為に、地域のリーダーを育成しようとする団体が仲間を必要としないはずがないし、自らの手で新たなリーダーを育てていかなくてはならない。その為に会員の拡大が必要なのだ。勧誘活動は人対人、正にJCが掲げる三信条の一つ「修練」の場なのだ。青年会議所の良さを言葉で伝えるのは難しいとよく言われる。しかし、それを伝えなければ勧誘は成功しない。けれども、必ずしも言葉でうまく説明できなくとも、その人の熱意や日常の生活を通じて伝えられるものも多くあると思う。そういった意味でもJCの活動をしているときだけがJAYCEEではないのだ。常日頃からJAYCEEとしての意識を持ち行動しなくてはならない。市民に新見青年会議所を語れるようになるには、まず自分自身の身を律し、青年会議所で学んだことを実践しなければならないと思う。その結果として会員の勧誘、拡大が成しえるのではないだろうか。

 「ソーシャルデザインから始まる地域の活性」

 2013年度より新見もみじフェスタに参画を始めたが、このイベントの最終目的は新見青年会議所の手から離れ、市民の手で運営が出来るようにすることである。これは単に我々の手から離すということだけではない。市民自らが地域の発展や賑わいをどのように創出していくかを考える場の提供を行うのである。新見青年会議所がこれまで行ってきた、各種の講演会や選挙における公開討論会の実施も市民自らが考え判断する機会の提供を目的としてきた事と同様に、今回は更に一段階高いソーシャルデザインの場の提供が目的なのだ。自分たちが住む地域の発展を望まない人はいないだろう。しかし、一人では何もできないのも現実なのだ。だが我々には志を同じくする仲間がいる。この仲間が力を合わせ、地域再興の起爆剤となり、新見市民を巻き込むことで、我らの郷土新見の発展に寄与して行こうと思う。

 「国家と地域」
 日本を取り巻く世界情勢は近年まれにみるほど、緊迫してきている。中国の膨張、海洋進出による尖閣諸島周辺を含む東シナ海での領土紛争、韓国による不当な竹島の占拠、ロシアによる北方領土の占拠、いつ解決するともわからない北朝鮮による拉致問題など日本が直接的に関わる国際問題から、アメリカ・ヨーロッパの衰退によるイスラム圏での先の見えない紛争など、まさに混沌とした時代としか言いようがない。
 これらの紛争は、一見すると、国外若しくは我々が直接関与することのない海の上での出来事であり、ニュースで見聞きする程度で、なかなか自分の事と認識しにくい事案であることは明白である。しかし、これらの事は、実は自分達の生活に密着している事だという認識が我々には必要なのだ。日本青年会議所はこれらの諸問題に何年も前から取り組んできた、新見青年会議所でも領土問題などに取り組んできたが、まだまだ市民への浸透が足りないのが実情である。戦後、日本人に欠如してしまった、国家と国民、国と地域の関係性を今一度再認識しなければならない時が来ていると痛切に感じる。新見青年会議所は日本青年会議所と連携し、これらの運動を地域に落とし込む活動を展開していこうではないか。

 「国家・地域の荒廃は我らの責任」
 少子高齢化の波は日本全国各地で問題になっており、もはや新見市のような中山間地域の限界集落を抱える町だけが直面している問題ではない。すなわち、この問題を町の衰退の言い訳にはできないということだ。先にも記したように地域の先導者たる新見青年会議所メンバーが、個々の持っている力を最大限発揮し各自が今以上の奮励努力することでしか、現状を打破することはできないのである。私は一般社団法人新見青年会議所第48代理事長として、会員の皆には新見青年会議所の会員であることに「誇り」と「自信」をもって我らの郷土新見市に寄与してもらいたいと切に願うものである。

 

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